原作:藤見泰高 漫画:カミムラ晋作『ベクター・ケースファイル』2巻

 「ベクター・ケースファイル」――。
 それはかわいい女の子と虫知識を組み合わせた全く新しい漫画である。
 そしてこの少女の名前は稲穂。虫知識を極めた少女だ。
 彼女が今、数々の難事件に挑む。
 うおおおーーーーっ!


 ……分かりづらいネタですか。そうでもないですか。まあいいや。


 というわけで、2巻目が発売された「ベクター・ケースファイル」。
 1巻は真っ当に虫知識を語っているはずなのに、なぜかアイドルが電車で痴漢されて過剰なお色気があったり、コスプレがあったりといったミスマッチ感とやり過ぎ感が楽しかったですが、2巻もその路線は健在。
 虫の生態を鍵にしつつも、ホラー風の話があったり、サスペンス風の話があったりとバラエティ豊かな展開を見せております。


 Act.6のゴミ屋敷の話など、なぜこれでいい話になってるんだ! 感がたまりません。そしてわらわらと大量に現れる虫たちの描写も気持ち悪さもポイント。しかしAct.7のハエトリグモの大群はなんともラブリーです。
 この2巻は1巻のようなお色気分は控えめではありますが、表紙では稲穂が下着をチラ見せしたり胸元がはだけてたりと1巻と同様、無意味なお色気を放っていてステキです。巻末おまけでの下着姿とかも。普段もっさりしているのに脱ぐと凄い稲穂のような娘、というのも実に趣があって良いですね。


 以上のように、虫知識を駆使して事件解決に努める稲穂と、お色気描写や事件の規模の対比が醸し出すB級作品的魅力がある本作ですが、2巻では稲穂が関わった事件で虫により不幸になる人間が発生。虫を愛する稲穂は心を痛めますが――。
 単発のエピソードに挟まれる主役のキャラの掘り下げ。ここら辺が今後の物語にどう響いてくるかにも注目。