「コミックビーム」07年12月号

安永知澄「ステップ・バイ・ステップ」#0:ゆうえんちからの帰り道 #1: Go Up the Stairs

 新連載でカラーの#0と#1の2話を掲載。
 「日々の階を描き出す珠玉の短編連載」とありますとおり、日常の一場面を独特の感性でとらえた作品。
 「Go Up the Stairs」の理屈が通じない、でも不思議な柔らかさを持った夢の描写が印象的でした。
 この感じ、何となく川上弘美の作品を連想した、と書いたら外れているでしょうか。

タイム涼介アベックパンチ 第11話:ネクタイみたいに。

 「女を戦わせる」ということに反発を覚えるイサキ。「男にとって女ってのは殴るモノじゃなくて守るモノじゃないのか?」という彼の言葉に対し「おんなってモノではないよ」の答え。
 男と女がリングに上がって戦う競技「アベック」の意味を自分なりに見出したイサキの再スタートとなりました。
 いいなあ。どんどん面白くなっていきます。

森薫「エマ 番外編」第十六話 規律

 今回の主役はウィリアムの弟 アーサー。監督生となって後輩の指導にあたるアーサーですが、一人の生意気な新入生に手を焼いて――。
 ライバルと一緒に北風と太陽、しかし最後に旅人が選んだのは北風だった、的な。
 本編でも見せたアーサーの硬質さと、その裏側にあった優しさが描かれております。
 さて、次からは3話連続となるエマとウィリアムの話が開始。ラストエピソードとなるようです。

入江亜季群青学舎第二十六話:メリー・ガーデン

 41才の先生と18才の奥さんの年の差夫婦が造る庭のお話。
 丹誠込めて造る庭(菜園)と、二人のほっこりとした愛情。
 小さいけれども幸せが一杯につまったエピソードでありました。

三宅乱丈イムリ第17話:双子

 バニエストクら軍事系のクーデターもいよいよ大詰め――と思いきや。
 緊張が続いてきた物語が今回大きな転換を迎えております。呪師達の秘密、デュルクと夢を共有する少女 ミューバの秘密。いろいろな謎の一端が明かされて更に大きくうねる物語。これからどうなるんだろう。目が離せません。