森ゆきなつ『タマさん』1巻

タマさん 第1巻やで (まんがタイムコミックス)

タマさん 第1巻やで (まんがタイムコミックス)

 イラストレーターのお父さんと娘さんの二人暮らしの如月家に飼われている猫のタマさん。
 しかし、彼(?)はただの猫ではなく、人語を解し、自らも関西弁を操る猫なのでした。
 この妙な猫・タマさんと、如月家の二人や、そこに出入りしている女子高生の杏など周囲の人々の日常を描いた4コマ。「まんがタイム」「まんがタイムオリジナル」連載。


 「わしの名はタマさん どこにでもおるただの猫や」

 と自己紹介をするタマさん。しかし喋っている時点でただの猫ではありません。しかもおっさん口調で関西弁。まるまると肥え太った体と線目に貫禄と愛嬌があります。そんな普通でないタマさんが普通の猫では出来ないことをしておきながら

「ただの猫やで」

 と言ってのけてしまうすっとぼけた感じがたまりません。
 形は猫でも中身は概ねおっさん、というタマさんですが、のどをなでられることや、マタタビや猫じゃらしに弱かったりと猫の性には敵わずににゃーん、ととろけてしまったり。猫の性とおっさんの間で行ったり来たりしているタマさんがなんともユーモラスであります。

 人間に対して猫であることの利点を結構したたかに使いこなすタマさんですが、娘のふるるに振り回されがちだったり、猫をなでるのが異様に上手な杏の友達ふみかのテクニックにメロメロにされてしまったり、やっぱり「猫であること」に戻って弄られたり。

 ふくふくとして癒し系のタマさんが実に良い味を出しております。
 個人的にはおまけ漫画のふぐりを弄られたタマさんの話がとても好きです。
 そうかー、痴漢の理論かー。