あきづき空太『赤髪の白雪姫』1巻
- 作者: あきづき空太
- 出版社/メーカー: 白泉社
- 発売日: 2007/12/05
- メディア: コミック
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生まれつき赤い髪を持った少女・白雪。
放蕩者のバカ王子・ラジに見初められた彼女は、他人に自分の行く末を決められる事を嫌って国外に逃れることに。
その途中の森で少年・ゼンとその仲間と出会い束の間の楽しい時間を過ごしますが、そこにラジの手が伸びてきて――
自分の意志を強く持っている少女・白雪と、身分を隠して外の世界を見て回っていた王子・ゼン。ゼンの助力によってラジの軛を逃れることが出来た白雪はその人生を自ら描くことを始めるのでした。
身分を隠した王族と、それと知らずに戯れていた少女のボーイミーツガール、などと言ってしまうと陳腐な話に聞こえてしまうかもしれませんが、本作はそんな「運命の出会い」のみに堕さない物語となっております。
ゼンの客人として彼の王宮に出入りすることができるようになった白雪ですが、その寵を利用することなく、自らの努力で宮廷薬剤師を目指し、きちんと自立した一個の人間としてゼンと会うことを望みます。
また、ゼンの寵愛を盾に好き勝手をするに違いない、と白雪を疑う家臣に脅迫されても「何もせずにここを行き止まりなんかにしたくない」と、一歩も引かず自らの正しさを証明したり。
この白雪の「自分の運命は自分の手で切り開いていく」という強い意志によって物語はきりりと引き締まって清々しいものに。
そんな彼女を信頼に値する者と認めて親しみと敬意と以て接するゼンもまた小気味よいキャラクター。
平民と王子、身分差カップルの二人ですが、その身分にこだわることなく認めるべき一個の人格として互いに尊重し合う姿勢がとても良いのです。二人が互いに抱くほのかな憧れとときめきがまた心くすぐるものがあっていいなあ。
帯の惹句に「こんな新人、いない!!」とありますが、コレはすごい! とインパクトのある凄さではなく、丁寧にしっかりと造られた物語に感心するのと同時に、今後の展開に期待が大きく膨らむ感じであります。