柴田ヨクサル『ハチワンダイバー』5巻

ハチワンダイバー 5 (ヤングジャンプコミックス)

ハチワンダイバー 5 (ヤングジャンプコミックス)

 二こ神との修行を経て、斬野にリベンジを挑むハチワン
 人形に囲まれた斬野の家で等身大の受け師さんの人形を見て心を乱すものの、盤に向かえば背景は全て消えるという境地に至った彼にはさして問題にならず。
 しかし、受け師本人が立ち会いに現れ、「彼女への告白」を賭けて勝負を開始するが――

「すでに今 彼女に告白しちゃったんじゃないの君」

 自爆で己の心をかき乱したハチワン、勝負の行方や如何に!?


 大ゴマと巨大な文字で演出される勝負の迫力と緊迫感とスピード感がやっぱり凄い。そんな息詰まるようなギリギリの勝負であるのに、キャラクターに隙というか、バカらしさがあるのがまた大変に味があって素晴らしい。
 今巻は鼻血を吹き出しながら、一手一手受け師さんへの告白を絶叫しながら特攻していくハチワンの姿が大変に素晴らしい。馬鹿馬鹿しく滑稽でありながら、これ以上無く真剣で熱の籠もった前代未聞の告白シーンであります。将棋一筋で生きてきたハチワンが、それと肩を並べる程好きだと告げる受け師さんへの告白。熱いったらありません。

 そして斬野との勝負の後登場するのは、彼の将棋の師匠だという澄野。チンピラ4人を簡単にのした彼は、ハチワン、受け師さん、斬野の3人を同時に相手にして3局面での勝負を開始。これまた強烈なキャラクターの登場でますます目が離せません。

 2008年版『このマンガがすごい!』のオトコ版一位を獲得した本作ですが、それだけのことはある力強さが全編から迸っております。