東雲太郎『キミキス various heroines』3巻

キミキス 3―various heroines (ジェッツコミックス)

キミキス 3―various heroines (ジェッツコミックス)

 年上の幼なじみ摩央姉ちゃん、元気なサッカー少女咲野さんに続いて、3巻目のメインヒロインを務めるのはおっとり系お嬢様の祇条深月
 ハプニングで唇を合わせてしまった主人公と祇条さん。それをきっかけに始まる身分違いの恋愛物語。互いに好意を持っていながらも、身分の差という壁、お互いに奥手さなどが障害となってなかなか決定的には進まない二人の仲がくすぐったい感じで描かれております。

 が。

 そこはやはり東雲版「キミキス」。純朴そうに見えてなかなか、いや、かなり大胆な主人公光一君の行動=キスが突破口を開くのでありました。
 突然の雨に二人きりで雨宿りをすることになった光一と祇条さん。我慢できなくなった光一君が突然祇条の唇を奪ってしまったり。
 また、学園祭の最中、犬耳メイド姿の祇条さんの耳を弄っているうちに、本当の耳に唇で愛撫を加え始める光一君。

 変態だ! というか狂ってますよ!
 これだけ大変なことをやっておきながら、全体の甘やかな雰囲気に乗せて「これはアリ」な描写にしてしまっている辺りは凄いなあ、と。

 しかし、光一君のこの大胆さとテクニシャンっぷり、1巻ごとに物語はリセットされているはずなのに、彼の経験値だけは据え置きなのではないか、と思ってしまうエロっぷりであります。
 そして、別荘で二人きりになった夜、想いが通じた二人はベッドの上で―――

 「これ、絶対入ってるよね」 By みうらじゅん

 しかしまあ、相変わらず男女互いに顔を真っ赤にしながら見つめ合い、リビドーが次第高になっていくにつれてキスも激しくなっていく、という描写は大変にエロティックであることだなあ。主人公もヒロインも両方昂奮している、というのが何とも言えません。


 摩央姉ちゃんの時は近しい二人の距離を再確認する過程で生じるエロス、咲野さんの時が段階を踏んで深まっていくエロス、この祇条さん編は障害によって近づけないもどかしい二人の距離感が生み出す抑圧と解放のエロスがあるのではありますまいか。

 また、3巻には「チャンピオンREDいちご」に掲載された川田先生編も収録。雨に濡れた二人が山小屋で過ごす一夜は如何に、とこれまた淫靡なお話となっております。いや、話は健全なんですけど。

■ブログ内関連過去記事
『キミキス various heroines』1巻感想
『キミキス various heroines』2巻感想