大崎梢/久世番子『配達あかずきん 成風堂書店事件メモ 1』

 書店「成風堂」を舞台に、書店員の杏子さんとアルバイトの多絵ちゃんが事件を解決していく大崎梢先生原作のミステリを、『暴れん坊本屋さん』の久世番子先生がコミカライズ。

 「本」が解決の鍵となる事件を、書店員ならではの視点と知識で解決していく様子が興味深く、そして実に鮮やか。
 書店業に関わった事がある人なら「ああ、わかるわかる!」というネタを盛り込みながら、事件と書店が自然に交差し、杏子さんと多絵ちゃんが仕事の中からヒントを得て事件を解決。事件と探偵役と舞台、全てが書店とそこに関わる人たちであることに必然性があり、読んでいて唸らされます。

 本と人との出会いの場である書店。そこで起った事件は本をきっかけで解決し、そしてまた新たな人のつながりを生む。事件の後味が爽やかなのがまたいいのです。

 ところで、久世番子先生の作品は『暴れん坊本屋さん』しか読んだことがなかったので、こういうタッチの画も描かれるとは。眼鏡のできる書店員・杏子さんや、手先は不器用だけど洞察力のある多絵ちゃんが大変に可愛らしく描かれております。