「コミックビーム」08年9月号

コミックビーム 2008年 09月号 [雑誌]

コミックビーム 2008年 09月号 [雑誌]

吉田戦車「民話ボンボン」その1:出前姫

 食堂王国なる怪体な世界が語られる創作? 民話。人物も世界も頓狂素敵です。民話がテーマであるということで様々な物語のアーキタイプをどう料理してくれるのか楽しみ。

入江亜季群青学舎」第三十五話:完 ピンク・チョコレート

 おっかなくて、艶っぽくて、そして実にいい女な三也子さん。雨降って固い地面が更に固まった感じであります。これにてこのエピソードは完結。愛ですな、愛。

タイム涼介アベックパンチ」第20話:甘いケーキとマウスピース。

 アベック参加に向けてついに踏ん切りをつけたイサキ。最後に彼の背中を押したヒイラギさんとのやりとりが実にいいですな。そして自分のやることに気づいたイサキがまた眩しい。さあ、ヒラマサからバトンを受け取ったイサキのアベックが開始! 素晴らしく青春しております。いや本当に毎回毎回唸らされる巧さであります。

宮田紘次ききみみ図鑑」第5話:六つの音

 「ごきげんよう」としとやかに挨拶を交わす女学園の生徒達。しかし、その素の姿は……。ということで、その実態とのギャップがしらじらしくて「ごきげんよう」を言えない女生徒と生徒指導の先生の物語。ささいな事にこだわっていた女生徒と「ごきげんよう」にこだわっていた先生の心が触れあう瞬間がキラリと光ります。その後の女生徒の行動も可愛らしくて素敵です。ああ、巧いなあ。


安永知澄「ステップ・バイ・ステップ」#10:誕生日

 彼氏への誕生日プレゼントに買った鉢植えを落して割ってしまった女の子のお話。割れたことで色々考え込んでしまった彼女が、通りかかる人々とのやりとりを通じて再び思いやりを持ち直していく様子を描きます。細かい心の揺れが表情や行動から伺えます。
 このシリーズは幻想的だったり抽象的だったりするエピソードが多いですが、今回のように現実的な話も良いですね。