南條範夫/山口貴由『シグルイ』11巻

シグルイ 11 (チャンピオンREDコミックス)

　伊良子清玄に敗れ左腕を失い屈辱の日々を生きる源之助と、異形の剣士・屈木頑之助を描いた「蝦蟇剣法編」を収録。

　頑之助の執念も大変なものがありますが、陰核異常勃起のツンデレ怪力お嬢様・お千加とか、土壇場で逆ギレする一伝斎とか、男女の営みを笑顔で伝授している在りし日の数馬・兵馬の兄弟とか箍の外れた舟木家の人々の描写が素晴らしい。
　いや、どれも大まじめにギリギリの線で動く人間を描いているのですが、大まじめすぎて笑いが生まれてしまっていると言いましょうか。

　しかし、「蝦蟇剣法」のエピソードをここまで踏み込んで描くということは全試合を描くことになるのでありましょうか。それとも挿話的な扱いなのか。はたまた今後の藤木と伊良子のエピソードに何か影響を与えることになるのか。

　しかし、牛股の戦いの場面でもそうでしたが、「つーかあり得ぬだろ」にしろ「やっぱ半端ねえな」にしろ孕石雪千代の異様なキャラの立ち方は一体何でありましょう。いや、面白いですけど。