「コミックビーム」08年10月号

コミックビーム 2008年 10月号 [雑誌]

タイム涼介「アベックパンチ」第21話：メバル。

　リングの上に現れた新しい恋。クールだったイサキが楽しげにメバルと言葉を交わす姿に、ヒラマサ・コルビーナの蜜月の時間を思い起こさせます。だからこそヒラマサは――波乱含みで二人の男の友情の行く末や如何に。

唐沢なをき「まんが極道」第30話：僕は漫画家（うそ）

　匿名掲示板で漫画家を騙る引き籠もり男の悲哀。ユーモラスに描いておりますが、いやー、世の中で一体こんな事例はいくつあることやら、とやっぱり今回も生々しいのでありました。

入江亜季「群青学舎」第三十六話：老楡

　一種BL的な雰囲気も漂わせつつ、アウトローに転がっていく青年と、彼に突っかかる真面目な青年のやりとり。それを見つめる老木の視線が意味深であります。結構今までの話の中では異色かも。

宮田紘次「ききみみ図鑑」第6話：空っぽの音

　病室で祖父の最期の数日に立ち会う孫娘。しかし湿っぽさはなく――というより寧ろ乾いていて、死にゆく状況よりも、その祖父から聞こえる音に意識が向いてしまうという。しかし、その意識の傾け方が徐々に変わっていく様が実に巧みであります。