奈須きのこ『DDD』(1)
『月姫』『Fate』のシナリオライターによる伝奇小説。
精神の変化が肉体の変容を起こす精神病「悪魔憑き」、その悪魔憑きの妹に片腕を奪われ、昼間の記憶が継続できなくなった悪魔祓いの男、彼に義手を与え、世界と隔絶した部屋に棲む四肢を義手義足で補う女と見まごう美貌の青年、悪魔憑きを凌駕する戦闘能力を持つ女刑事、等々。
酷く大雑把に言えば悪魔憑きによって引き起こされる事件を、片腕の青年・石杖所在が解決するという筋。この1巻では4編の事件を収録。
派手な設定とキャラで世界を固めておりますが、この1巻ではまだ物語の鍵となるであろう義手や、その義手の持ち主たるカイエの謎が明かされないまま、伏線だけを張って終わってしまうため読後感がどうにもモヤモヤしたものに。
サプライズを誘う仕掛けもあるものの、読んでいて途中で気付く人も多いかもしれません。
もうちょっとまとまってから、あるいは完結させてから出すべきだったんじゃないかなあ、と思わないでもありません。
装飾過剰気味な文章とか、ネーミングセンスとかは好みの問題になるでしょうか。
しかしまあ、「伝綺」という呼称は常々どうかと思っているのですが如何でしょう。講談社文三よ。
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