「コミックビーム」2007年2月号

 タイム涼介アベックパンチ」が巻頭カラーで新連載開始。イサキとヒラマサという喧嘩に明け暮れる不良少年達の青春物語――となっていくのでしょうか。前作「あしたの弱音」でも見られた「はぐれ者のリリシズム」とでも言うべき滑稽さと物悲しさを併せ持つ言葉が、独特のリズムで以て全編を覆っております。とてもいいなあ。

 森薫「エマ 番外編」エマと一緒にメルダース家でメイドをしていたターシャにスポットを当てた話。休暇をもらって実家に帰ったターシャ。兄妹それぞれが結婚や仕事で自分の進むべき道や目標を明確にしている中で、メイドを続けていく自分の意義を自問するターシャ。本編での明るさと、少しセンチに悩むこのエピソードの姿の対比が印象的。締め方がまた巧い。

 入江亜紀「群青学舎」。ルーサーとグゼニア、それぞれの相手に対する想いが語られる北の十剣第4話。次回の完結に向けて大きく歯車が動いた印象。女としての姿をさらけ出した後、笑顔の中に強い意志を秘めたグゼニアのラストのコマが、キャラクターの性格を端的に示していて実にいい。

 読み切り、カイトモアキ「ゲーム夜話」。微妙なゲームを「斜め上の面白さ」と言って面白がる友人と、己を比較してゲーム乞食とゲーム侍と評する男。しかし、その根っこでは――。うぅむ、ネタが2回転半くらいしているなあ。毎回毎回、この人の短編は面白い。一度見たら忘れられないこの濃いぃ絵柄は大変に魅力的ですな。好き嫌い分かれそうですけど。

 奥村編集長から漫玉日記の最終回に言及がありますが、うぅむ、やはり玉さんは相当参ってたんだなあ。ゆっくり休んでほしいものです。