武富健治『鈴木先生』(1)
宝島社の「このマンガがすごい」の上位の作品の中で、唯一名前すら知らなかった作品。イカンなぁ、と思いつつ読んでみました。
生徒に人気の中学校教師鈴木先生が、学校で起こる問題に姿を描いた作品。
給食中に周囲を不快にさせる言動をとる生徒。良くできた生徒だと思われていた彼がなぜそんな行動に走ったのかを追う「げりみそ」
給食の不人気メニュー「酢豚」。それが献立から消えてしまうことに対して一人の女生徒が声を上げたことから、学校全体でアンケートを取ることになった――という「酢豚」
小学四年生の女の子をレイプした、とその子親から訴えられた男子生徒。しかし二人は合意の上で――という「教育的指導」
以上の三編を収録。
理想に燃える熱血漢でもなければ、湿っぽい人情家でもない鈴木先生のキャラクターが実にいい。
起こった問題に対して問題の原因は何なのか、そしてそれに対して自分はどうすることが効果的なのか、そしてそれは生徒達にどう受け取られるのか、を考えて真摯に生徒達と接し、きれい事だけで済ませない鈴木先生の言葉と行動には実に説得力があります。
その言葉を導き出すまでに悩み、思考しまくる先生が実に人間くさくてまた良いなあ。
教え子相手に性的なものを感じてしまう部分も含めて。
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