「月刊少年シリウス」2007年3月号

・新連載・志村貴子「ルート225」(原作:藤野千夜)。
 志村貴子作品では初の原作付きコミックになるのでしょうか。何だか世の中に疲れてスレちゃってるお姉ちゃんと、弱気な弟君。弟君を迎えに行った帰り、迷うはずもない慣れた道なのに、二人は見たこともない風景の町に迷い込んでしまい――という。お姉ちゃんの心の動きの描写の濃やかさとかが志村貴子らしい。原作は未読。

木静謙二/平山夢明「鳥肌口碑」。
 平山夢明の同名作品コミカライズ。原作の持つ原因もオチも無い怪談の鬼魅の悪さが巧く漫画にまとまっております。この間の「新耳袋」も巧いと思いましたが、木静謙二はエロだけの作家ではないなあ。

竜騎士07/野沢ビーム「怪談と踊ろう」。
 新連載。同人ゲーム「ひぐらしのなく頃に」の作者監修のホラー。
 中学三年生三人組が退屈しのぎに作って流布させた「お骨サマの呪い」の話。始めは面白半分だったが、やがてその呪いは一人歩きして大きくなってく――。
 設定自体は目新しいものではないですが、その「呪い」が血肉を獲得していく様、その作者がそれをバカバカしく思っているのに、徐々にその中に飲み込まれてしまう様を丁寧に描いていて1話目からストーリーに引き込まれる感じ。
 画は正直今風でも派手でもないけれど、こういう話には合っているのかも知れないなあ、などと。次回以降のホラー分が増えた時に期待。

 しかし「竜騎士07」は「りゅうきしれな」と読むのだと聞いておりましたが、「りゅうきしぜろなな」とルビが振ってあってどちらが正しいのかしら。

・上田悟司「DripTrip」
 第3回シリウス新人賞入選作家の読み切り。
 組織を脱走しようとするスライム男と融合してしまった少女が、組織の追っ手と戦う、というお話。話はまあ、それだけなんですが新人とは思えない達者な画。
 女の子&スライムということでもっとドロドロでエロチックな描き方でも良いんじゃないかとも思ったのですが「『少年』シリウス」だから抑えめなんでしょうか。