花沢健吾『ボーイズ・オン・ザ・ラン』(5)
ついにマンモス産業に乗り込んで青山に戦いを挑んだ田西。
人間としての誇りのために全てを捨てる覚悟で臨んだ戦いだったが、青山と力の差は歴然で、浴びせかけられる言葉は胸に突き刺さり――
という青山との闘いと、その後を納めた5巻。
とにかく田西の男の戦いがすごい。己の無力さを嫌と言うほど突きつけられ、これまでの人生を否定され、肉体的にもボコボコにされても、それでもなお心折れることなく「戦い」を続ける田西。それはダメ人間・田西がここに来て強い意志で選んだ選択。どうしようもなく悲惨でみっともないけれども、その姿には胸を締め付けられます。
そうまでして己の矜恃を守り、惚れた女・ちはるちゃんに最後の挨拶に行ったのに……ああ、本当にこの女は非道い。
冴えない男達の魂の慟哭と、その生命の狂い咲きに拍手。
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