星野之宣『宗像教授異考録』(5)
清姫安珍説話と、海人族の伝説を結びつけ、蛇と化して愛する男を殺す話を取り上げた「道成寺」
異なる時代毎に層を成して遺跡が発見されるクレーター跡をめぐる争いと、隕石がもたらした鉄と信仰を描く「複合遺跡」
ジガバチを観察する女学生と出会い、「常世虫」信仰に思いを馳せる「虫めづる姫君」
以上の三編を収録。
相変わらず宗像教授の文学的とも言える奇想に満ちた論の数々がとても楽しいですな。「長い」の語源はナーガであるとか。
「道成寺」の、誰もが知っている清姫安珍の話を、意外な方向に持っていって歴史的事実と結びつける手腕は流石。
「複合遺跡」の鉄を巡る共同体の争いと、いざなぎ流を用いた呪術合戦。
掌編というべき「虫めづる姫君」アゲハの幼虫がなぜ「常世の虫」として信仰されたのかをセンチメンタルな話を交えて描いております。
このシリーズはやっぱり安定して楽しいなあ。
それにしても「異考録」になってから表紙のスペクタクル度がどんどん増しているような。この第五集なんて、パッと見、蛇が火焔を吐いているように見えましたわ。 隕石と蛇ですけど。表4には式王子が飛んでます。
毎回毎回、絵面的に凄いよなあ、と。
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