上津康義『クドー遺宝伝』
チビだが腕っこきのトレジャーハンター・クドーと、その相棒のデミヒューマン。彼らの引き起こす騒動に巻き込まれた骨董商のハルカ。
香港で、南米で、チベットで、世界中で3人が繰り広げる冒険活劇。
「ヤングキングアワーズ」で掲載されていたときから上手いなあ、と思っておりましたが単行本にまとまってから読んでみて、その巧さを再認識。
緻密に書き込まれた背景から、雑多な香港の街や、外界から隔絶されたチベットの寺院など、変化に富んだ各地の様子が説得力を伴って伝わってきます。
また、表情がころころ変わるハルカはとても可愛らしいし、どこか謎めいたクドー、無口だけど仕事をキッチリこなすデミヒューマン(オオアリクイ型)などキャラクターも魅力的。
クドーの振るう武器や、敵役として襲いかかってくる者達の描写やアクションもケレン味溢れていてとても見応えがありますし、短いページ数の中できちんと見せ場とオチをつける手腕も見事。
様々なガジェットも特に蘊蓄を必要としないでサラリとながしているし、知っていれば知っていたで面白いといった感じで エンターテイメントとして非常に質が高い作品だと思います。
もうちょっと世間で評価されてもいいと思うんですけどねえ。表紙が地味だから売れていないのかなあ。ハルカを前面に押し出した絵面にすれば少し違ったのかしら。
女の子だってとても可愛く描かれているのに。
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