森薫『エマ』8巻

本編に登場したサブキャラクター達に焦点を当てた番外編。この8巻ではエマの最初のご主人様だったケリーの若い頃を描いた「夢の水晶宮」(前後編)、ウィリアム坊ちゃんにフラれたキャンベル家の三女・エレノアの新たな出会いを描く「ブライトンの海」(前後編)、新聞を媒介にしてこの時代の様々な階級の人々の生活を描いた「The Times」、メルダース家でエマと同室だったメイド・ターシャの里帰りを描いた「家族と」を収録。

 本編では見られなかった登場人物の意外な一面が見られて楽しく、また短編として工夫が凝らされた構成も面白い。
 森薫も実は短編向きの作家なんではなかろうか、とコレを読んでいると思います。短い話の中でも、何気ない仕草や台詞からキャラの性格がしっかり伝わってきます。

 個人的には、子供らしい天真爛漫さを持ったダグと、しっかり者で感情表現が不器用なケリーの夫婦の対比が面白く、もう戻らない楽しかったあの日を、切なさとまぶしさを以て描いている「夢の水晶宮」が一番かなあ、と。

 そして、後書きの森センセのプチ暴走が相変わらず楽しいなあ。

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森 薫

エンターブレイン 2007-03-26
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