たなかのか『タビと道づれ』1巻

同じ夏の一日を繰り返す街「緒道」。坂と海に囲まれ風光明媚だけれども、不思議な力で路地が封鎖されて、先に進むことも、街の外に出ることもできない「閉じた」街。
 幼い頃の友達「航ちゃん」との想い出を求めてその街にやってきた少女・タビの出会いと成長の物語。「コミックブレイド」連載。

 色々と不器用で、引っ込み思案で、その割りには頑固なところがあるタビが可愛らしい。裸を見られても反応薄いくらいのローテンション娘なのに、ちょっとしたことでテンパったりビクッ! と反応してしまう辺りもまた。つぶらな瞳の上にちょこんとのっている眉もポイントでしょうか。

 そんなタビがループと行き止まりだらけの街で出会った学生のユキタと巡査のニシムラさん。行動派のユキタと内向的なタビ。正反対だけれどどこか通じるところのある二人が、この出会いによって互いに少しづつ成長していく様は王道でではありますが、やはりいいなあ、と。
 その二人を見守る「大人」としての立ち位置にあるニシムラさんも良い味出してるなあ。

 ループし続ける一日+通れない道、出られない町という設定ですが、尾道がモデルの美しい街並みのお陰で閉塞感とかはなくて、少年少女の成長をリリック且つファンタジックに描いていて気持ちいいです。
 タビの手に托された印が拓く先に何があるか、そもそもこの街の変異の原因は何かなど、物語としても興味深い部分が多く、次が楽しみであります。

タビと道づれ 1 (1)タビと道づれ 1 (1)
たなか のか

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