光永康則『怪物王女』4巻
「王族」の一人を捕らえて、その血を自らの快楽に用いる吸血鬼・キニスキー公との戦いや、存在しない村「赤錆村」を巡る事件、キニスキーとの戦いで吸血鬼社会を逐われることとなった令裡、夢の世界での戦いなどを納めた4巻。
お互いに反発しながらも、なんだかんだでいいコンビになりつつあるリザと令裡とか、邪険にされつつも、弱いながらに必死に戦ってしっかりと姫様の信頼を獲得しているヒロとか、キャラ同士の関係もだいぶこなれてきて話が円滑になっております。物語的にも王族同士の抗争という枠の中に、その王族を虜とするキニスキーのような人物が出てくるなど変則的な要素も加わり、面白くなってきました。
この4巻に納められた話の中では赤錆村の話のホラー度が群を抜いております。
ダムの底に沈もうとする村、そこで起きた連続殺人、それらの事件を追体験していく中で殺人鬼との対決と、すてきな要素が詰まっております。エレファントマンのような殺人鬼がダムに沈もうとする村に向かって呼びかける言葉も狂気を感じさせてステキ。
「怪物王女」の中で異色の話ですが、ちょっとこれは面白い。
それにしても、拘束した姫様の腋に蛇口を取り付けて血液を出させるとか、細かいところが変態的でいいなあ、と思うのです。
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