原作:藤見泰高 漫画:カミムラ晋作『ベクター・ケースファイル 稲穂の昆虫記』1巻

 普段はもっさりしているけれども、虫の事となるとすごい知識と行動力を発揮する女子高生・榎稲穂。
 現代の虫愛づる姫君とでも言うべき彼女が、虫が原因で起こるトラブルの数々を解決していく! という作品。

 食中毒騒ぎを起こした中華料理店、民家に巣食ったスズメバチ、有名建築家の家に潜む問題、グラビアアイドルを襲う痴漢行為等々、事件に潜む虫の影を探り出し、その生態から事件を解決に導いていく様子を、良い意味でB級ミステリのノリで描いております。事態の規模の割に色々と大仰なのがポイント高いです。

 また、本筋とはあんまり関係なく挟まれるお色気――というかエロスもまたB級的味わいと心躍るものがあってよいですね。
 特にAct.4「痴漢電車のアイドル」(すごいタイトルだ……)のエロ度は突き抜けております。連載時にこれを読んだ時は我が目を疑ったものです。変態的且つテクニカルなエロスがここに。

 主人公の稲穂さんも、普段は地味でぱっとしないけれども、白衣の下にはグラマラスなボディを隠している、というギャップも大変にステキ。

 女の子達のお色気と、ワラワラと群がる虫たちのイヤさ加減の融合が、何だか変態的でステキです。さすがは「チャンピオンRED」掲載作品と言うべきでしょう。
 お色気と変態性だけでなく、きちんと虫への愛が詰まっているのもポイント高いです。

 単行本描き下ろしのおまけ漫画には温泉に浸かるヒロイン達の後日譚が。こちらもこれでもか! というくらいのサービスシーンが詰め込まれております。

ベクター・ケースファイル 1―稲穂の昆虫記 (1)ベクター・ケースファイル 1―稲穂の昆虫記 (1)
藤見 泰高 カミムラ 晋作

秋田書店 2007-06-20
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