福島鉄平『サムライうさぎ』1巻
父と兄の死により、家を継ぐことになった下級武士の次男・宇田川伍助、十五歳。先輩からいわれるままに妻・志乃を娶ったがお互いに夫婦というのがどういうものかは未だちょっと分からない状態。
武家社会のしがらみの多さに生き辛さを感じていた伍助だが、新妻・志乃の自由さに触発され、剣の道に生きていくことを決め、天下一の剣術道場を開くことを目標にするのでありました。
真面目で真っ直ぐで努力家の伍助と、ちょっと天然系だけれど屈託のない志乃。この新婚夫婦の関係が実に良いですわね。
夫婦のことなど何も分からず、手を繋ごうとしただけで真っ赤になってしまうような初心な伍助ですが、天真爛漫な志乃の生き方や言葉に心を動かされ、「彼女にふさわしい侍になる」と決意。
一方、ただ自由に生きているようにも見える志乃も、夫となった伍助のことはしっかりと応援していたり。
今のところは愛情とかそれ以前の段階で「責任感」と己の定めた目標のために自分なりに頑張っている伍助。
彼が志乃と本当の意味での夫婦となるのはまだ先で、様々な困難が用意されていることとは思いますが、この新婚夫婦の物語に期待。
それにしても、志乃の屈託のない明るさというのは実に貴重なものであることだなあ。可愛らしいなあ。
一応侍を扱った時代物ではありますが、風俗や言葉遣いなどの細かい時代考証などは敢えて無視し、ギャグを織り交ぜつつ少年漫画としての面白さを追求しているという印象。
実際にそれは大変に成功していると思いますので、そういう部分にツッコミを入れずに伍助と志乃、この年若い新婚夫婦が分かり合っていく物語、女の子のために頑張る男の子の物語として見ていくべきかな、と。
二人の純粋さが大変に気持ちのよい一作であります。オススメ。
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