小野敏洋『そらのカナタの!』1巻

そらのカナタの! 1 (CR COMICS)

そらのカナタの! 1 (CR COMICS)

 ある日突然空に現れた、不気味な魚のような姿をした異世界からの侵略者。
 周囲の人々が皆石化した後化け物に変化しまう中、「受信者」として不思議な少年・リクによって侵略者と戦う「調律」の力を与えられた中学一年生の少女・そらの。
 世界を救うために、そらのと仲間達の戦いが始まる!

 というわけで、「コミックラッシュ」連載中の上連雀――じゃなかった、小野敏洋の最新作。
 あんまり物事を深く考えずに、とにかく前向きに与えられた力を使って化け物達を元に戻していくそらのが、なかなか気持ちのよい性格をしており可愛らしい。おみ足を惜しげもなく披露して戦う姿も健康的なお色気があって華やかでございます。
 空中に描いた絵が実体化して戦うという能力で、そらのが描いたファンシーなキャラが戦闘シーンを飛び回っていて楽しげです。

 一方、世の中など滅ぶなら滅んでしまえ、と斜に構えつつも力を与えられた少年涼木クン。
 リクのことを疑ったり、個人の力で世界なんて変えられないといったりと、なにやら屈託を抱えているようで、前向きなそらのの行動に苛立ちを覚えたりしております。
 彼の心を開いていくことがこれからの物語の一つの鍵となっていきそう。

 ヒーロー的明快な性格のヒロインと、屈託を抱えた男の子という配役が微妙に倒錯性を感じさせると言えないこともないですが、堂々たる王道のバトル&友情漫画として進んでおります。今のところは。

 ファンシーなキャラと、怪物を「倒す」のではなく「人間に戻す」という設定、そらのの明るい性格のためにぱっと見明るく楽しげですが、その裏でしっかりたくさんの人が死んでいることにも触れられており、なかなかハードな面も持ち合わせております。

 前髪パッツンのお嬢様キャラ・由貴に、おっとり系お姉様の星歌などの新たな受信者も登場し、涼木クンにとってはちょっとしたハーレム状態となっておりますが、さて、彼の心は開かれていくのでありましょうか。次巻での展開が楽しみ。

 上連雀――じゃなかった、小野先生の描く女の子は大変に可愛らしいのですが、ナニか生えてるんじゃないかと疑ってしまうのは私だけではないはず。というか読者の大多数が思っているに違いない。
 今のところはそんな設定ではないようですが、油断は禁物。
 油断、というか期待かもしれませんが。