小竹田貴弘『怪異いかさま博覧亭』1巻
「コミックREX」連載中の江戸モノ+コメディ+ちょこっと人情の妖怪漫画。
両国広小路にかかる閑古鳥鳴く見せ物小屋「博覧亭」で起こる妖怪・怪異がらみの珍事件と、それに伴うドタバタ劇を描いております。
妖怪馬鹿の主人・榊が妖怪ネタの興業を追求するあまりちっとも儲からない博覧亭。
でもしっかり者の番頭の柏はそろばん小僧だし、榊の来ている着物は小袖の手だし、座員にはろくろ首の少女・蓬がいるし、という状態にもかかわらず、彼らが妖怪とは見ずに、更に怪異を追い求める榊のすっとぼけた妖怪バカっぷり。
妖怪モノではありますが、暗さや怖さとは無縁で、カラリと明るく賑やかなコメディ色強い作品。ポンポンとテンポよく繰り出されるギャグが気持ちいい。
そのギャグへのリアクションなどに何となく80年代的躍動感を感じたりも。
先述の榊をはじめとして、男前の性格をしたヒロイン蓮花や、初心な元くのいちの八手、などキャラもそれぞれ立っていて魅力的。時々語られるキャラの人間味溢れるいい話も物語の懐を深いものにしております。
要所要所に差し挟まれる蘊蓄も楽しく、きちんと物語に沿った形で効果的に語られており、それらから作者の妖怪・怪異への愛情が伝わってきます。江戸の風俗についてもまた然り。
明るく楽しく、しかしなかなか筋の通った妖怪漫画。
派手なネタではありませんが地力のある面白さ。
個人的には毎月REXを買い続けている要因の一つである作品であります。
妖怪好きには特にオススメです。
でも、雑誌に読み切りとして掲載された「序幕」は、そのまま単行本の頭に持ってきた方が、雑誌連載未読の人には人間関係とか設定とか色々と分かり易かったのではなかろうか、と思うのですがどうでしょう。
怪異いかさま博覧亭 1巻 (IDコミックス REXコミックス)
- 作者: 小竹田貴弘
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2007/07/09
- メディア: コミック
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