田丸浩史『ラブやん』8巻

 29歳、ロリ・オタ・プーの三重苦。
 世の中にはカズフサの生き方を外側から笑える人間と、親近感を感じながら自虐的に笑える人間と二種類に分かれると聞きますが、さて皆さんはいかがでしょうか。僕ぁ後者です。

 というわけで、早いものでもう8巻目。連載当初は30歳までまだまだ余裕があったカズフサもいつの間にやら三十路目前待ったなし。そんな17歳と144ヶ月の青年と、ともに堕落した愛の天使ラブやんが送るニートな生活。

 インフルエンザのラブやんを介抱してラブが芽生えかけたりそれを毟り取ったり、実家で爺さんに立派な姿(虚像)を見せつけてみたり、新キャラ小悪魔っ娘・アンジュが登場したり、ちんこをエクステンドしてひとつ上の男を志してみたりと、バラエティ豊かなダメ人間の生き様を見せつけてくれます。

 が。

 カズフサといい感じになったりならなかったりの幼なじみ庵子が、この9巻のラストでついに結婚!

 ――会社の後輩と。

 カズフサと庵子、結構いい感じだったのに!
 なんだかんだ言ってもショックを隠しきれないカズフサ。この作品でこんなビターな話になろうとは……。
 ぐるぐると同じところを回り続けて進まないダメ人間の日々。しかしその変わらぬ円環からは少しづつ失われていくものもあるのでした。

 9巻が出る頃にはきっと三十路に突入しているであろうカズフサの明日はどっちだ!
 ……いや、まったく他人事ではありません。

ラブやん 8 (8)ラブやん 8 (8)
田丸 浩史

講談社 2007-07-23
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