かかし朝浩『暴れん坊少納言』
清少納言はツンデレ少女だった! というありそうでなかった設定が妙に新鮮。
アクティブで破天荒な清少納言と情趣に疎い無骨な橘則光(少納言の夫)の掛け合いを中心に、少納言の主である中宮定子や、和泉式部、藤原豊子などの中宮サロンの人物、そして同世代の好敵手としての紫式部などが登場する平安ラブコメ。
『ロングロングウェイホーム』『ファニーフェイス』など一癖ある作品の印象が強いかかし朝浩ですが、今作は衒い無くラブコメの王道を行っております。
『枕草子』に見られる少納言の感性や、史実・時代設定といった現実の要素を生かしつつ、少納言や則光のキャラクターの以外に、和泉式部が自堕落系のお色気姉ちゃんだったり、豊子が意地悪な先輩キャラだったりと、現代風のアレンジが。多少の事実の改変がありますが、そこら辺は描く方も読む方も織り込み済みということで。
清少納言が紫式部の『源氏物語』に触発されて小説を書き始めたものの、できあがったのはヘテロクロミアの美剣士が主人公で――といった痛々しい設定満載の小説だったりするのも楽しい。
破天荒だけれども感受性が強くて一本芯が通った性格の清少納言のキャラクターが、堅物な則光との対比も鮮やかに実に活き活きと描かれていており、読んでいて気持ちの良い作品。
この1巻でひとまず完結となっておりますが、「コミックガム」では続編の連載も決まっており、そちらも楽しみであります。
暴れん坊少納言1 (ガムコミックスプラス) かかし朝浩 ワニブックス 2007-07-25 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |