石黒正数『それでも町は廻っている』3巻

 メイド喫茶「シーサイド」に集う面々を中心に、町内で起こるイベントをおバカに、ちょっぴりノスタルジーも込めてご近所感たっぷりに描くコミック第3巻。

 この3巻では主人公・歩鳥が学園祭でタッツンや紺先輩らとバンドを組んでみたり、一人で喫茶店のする番をしてみたり、妹のサンタクロースの夢を守ろうと奮闘したり、メイド探偵として活動してみたり、ミステリ好きとなった原因の過去の話が語られたり、目玉料理開発のために頑張ってみたり。

 主人公歩鳥のアホの子っぷりに、ツッコむ者あり、ノっかる者あり登場人物がそれぞれキャラごとに異なる反応・対応をするのがとにかく楽しい。
 うーん、やはり歩鳥さんのアホの子っぷりの楽し可愛さは素晴らしいものがあります。
 「ワン・オア・エイト(イチかバチか)」という言い回しは是非日常生活でも使っていきたい感じであります。

 そして、28話「ツッコミじいさん」ではメイド長の亡くなった旦那さん(じいさん)が登場。笑わせつつもいい話に仕上げる――かと思いきやまたラストに一ひねり入れる辺りが実に心憎い。
 他の話でも若かりし頃のメイド長が歩鳥に向ける眼差しなど、合間に何気なく挟まれる優しさというか「いい話」分とギャグの兼合いが絶妙で素晴らしい。これらの積み重ねが作品全体の居心地の良い雰囲気を醸しているのでありましょう。
 また、町という限られた舞台の中で細かいリンクをしてたりするので、読み返してみると新たな発見があるかも。

 あと、亀井堂の太眉お姉さん・静さんは大変にかわいいなあ、と思うのです。

それでも町は廻っている 3 (3) (ヤングキングコミックス)それでも町は廻っている 3 (3) (ヤングキングコミックス)
石黒 正数

少年画報社 2007-08-03
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