もりやまつる『GOLD DASH』1巻

GOLD DASH(1) (イブニングKC)

GOLD DASH(1) (イブニングKC)

 深夜の高速を裸足&ドレス姿で激走するキャバ嬢。
 それを見て逸材だ! と惚れ込むトラック野郎。
 浪華の街からスタートするそんな二人のマラソンストーリー。
 目指すは北京五輪だ!

 いやー。凄い。のっけからインパクト満点で大変に素晴らしい。もりやまつるの濃いぃ絵柄と相まって。

 昼は鳶職、夜はキャバ嬢、子連れ元ヤンの伊藤蘭と、かつてマラソンのコーチでありながら訳あってその職を辞し、トラック運転手をしている大鳥嵐(らん)。
 自分をひき逃げした男を追っての蘭の高速道路深夜の大激走を目撃し、そのスピードと、フォームの美しさと、ガッツに心底惚れ込んでしまった嵐。
 身銭を切って蘭の借金を返済し、口説き口説き倒して彼女をマラソンの世界へと誘います。

 強面のオッサンなのにいちいち言動がお茶目で実にステキ。
 「あけおめ(ハートマーク)」とか、笑顔とか本当にキモ可愛い。
 感動屋だったり、蘭の凄みの前にビビりが入ったりする外見とのギャップがまた愉快であります。 

 そんな嵐ですが、走りにかける情熱は本物だったりして時折芯の通ったかっこよさを見せるのがまた心憎い。

 大阪の街と人々が持つバイタリティとユーモア感、キャバ嬢&マラソンという前代未聞の組み合わせが生み出すインパクト。非常にパワフルな作品。先を読みたくなる力に溢れております。
 見た目と設定から色モノっぽく感じるかもしれませんが、実は中身はまっとうなスポーツ漫画であります。いや、設定と目指すところは凄いですけれど。