久正人『ジャバウォッキー』3巻

ジャバウォッキー(3) (マガジンZKC)

ジャバウォッキー(3) (マガジンZKC)

 生まれたばかりの毛沢東に対して企てられた暗殺計画、トロイ発掘のシュリーマンが発見した聖書盗作の証拠となる遺物。歴史の影に生き続ける恐竜人間達の物語に、女スパイ リリー・アプリコットとオヴィラプトルの恐竜人間 サバタ・ヴァンクリフのコンビが挑む第3巻。

 陰影の強い対比で描かれた独特の画面、洒落っ気のある映画的台詞回し、そしてハッタリの効いた物語。
 うーん、やはりカッコイイですなあ。
 未来に多くの死をもたらすことが預言された赤ん坊に対して下された暗殺指令。
 聖書の正当性と起源を揺るがす発掘された物語。
 それらと在るはずのない恐竜人間達が絡み合った素晴らしく魅力的な嘘であります。

 漢民族の王朝を影で支えて来た立場にありながら、清朝支配下で暗殺者に落ちぶれたミクロラプトルの女王。彼女が取った手段とその報いの結末。「造反有理」のスローガンがなかなか効果的に物語を締めます。

 出来レースのトロイ遺跡発見の影に隠された「アダムの肋骨」を巡って、人間に戦争を仕掛けようとする恐竜人間達とそれを阻止しようとする「イフの城」サバタ&リリーのコンビ。
 因縁のアロサウルス・ジャンゴとの対決、そして動き出した恐竜人間達を止められるのか?!

 うーん、実にエンターテイメントしていて素晴らしい。
 未読の方は是非。

 1・2巻感想