「コミック怪」vol.1
妖怪専門誌「怪」の姉妹誌となるコミック。
志水アキによる「魍魎の匣」コミカライズをはじめとして、この創刊号には伊藤勢、堤抄子、室井大資、湯浅みき、大橋薫、後藤羽矢子、樹生ナトの作品が掲載。そして水木しげるの怪作「鬼太郎対悪魔くん」も収録。
やはり目玉は「魍魎の匣」。
志水アキがこのコミカライズを担当すると聞いたときに、あぁ、それなら適役だ、と思いましたが、実際に見てみてもそのシャープで緻密な線は京極夏彦の作品世界を漫画として描くのに不足なしといった感じ。
純粋且つ歪んだ危うい関係にある加菜子と頼子、久保俊公の鼻持ちならなさ、木場修の懊悩、弱気な関口、等々キャラクター達のイメージを損ねることなく、京極作品を「漫画」として成立させております。
「魍魎の匣」の登場人物達が抱えている「不安定さ」も実に上手く表現されているなあ。
この創刊号で描かれているのは、あまりにも冒頭の「匣の中の娘」のシーンから、関口、鳥口、敦子らが美馬坂研究所にたどり着くまで。
物語的にはまだ京極堂は登場しておらず、コミカライズ作品としての真価は彼の登場後、京極節を如何に表現するかというところで問われるのではないかと思いますが、この第一回目を見るに、今後の展開も相当期待しております。
その他、九尾の狐をネタにバカバカしいギャグとして仕上げた伊藤勢「九尾−闇守人−」 、おとぎ話や説話伝説の登場人物達の鮮やかなコラボレーションが魅力的な堤抄子「平安Haze」辺りが印象に残りました。
次号は11月刊行予定。
「魍魎の匣」を読むためだけにも買っても良いかなあ、と個人的には思っております。
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