作画:あらきかなお 原作:キャラメルBOX『乙女はお姉さまに恋してる』1巻
アニメ化されたり、PS2に移植されたりもしましたが、原作は18禁PCゲーム。「電撃大王」に連載中のそのコミカライズ作品。
原作となるゲームは未プレイ、アニメも未見なので漫画を読んだのみの感想、ということで。
お嬢様ばかりの女学院に「女の子」として転入してきた主人公の瑞穂。
全生徒の見本となる「エルダー」に選ばれて「お姉さま」と慕われるようになてしまったり、幽霊のルームメイトが出来たり。
乙女の園の中、男であることがバレないよう波乱の学園生活がスタートするのでありました。
と、女装美少年+百合、という近頃のおいしい要素を惜しげもなく取り込んだ設定。
あらきかなおの描くキャラが、女の子同士でぺたぺたとくっついていたり、からりとお馬鹿な騒動を起こしてみたり、活き活きと動き回る様が大変に華やかで可愛らしい。
基本的にはそういっ女の子達がじゃれ合う可愛らしさを楽しむ作品でありましょう。眺めておりますと、こう、心の中にあたたかなものが兆してきます。
ところで。
主人公の瑞穂、トイレがどうのとか、朝起きたときにアレであるとか、プールに入る時に困る、といった男性であるが故のトラブルが発生することはしますが、セクシャルな部分では完全に無力化されているなあ、と。
現時点では、誰かとはっきりした恋愛フラグが立っているわけではなし、男として誰かに迫るわけでなし、むしろ女の子達に押されてっぱなし。
ここで描かれている瑞穂のキャラクターというのは、女性であることに自信がない女の子、というキャラの変種でありましょう。男性であるということはそのコンプレックスに置き換え可能ではないかと。
そもそも女×女、百合の関係の変奏としての女装美少年なので、瑞穂のキャラとしての比重は女>男にあるのは間違いないところかな、と。
たとえばコレが同じ女×女でも、男役として両性具有が出てきたりするのとは全く逆の構造となりましょう。
こちらは逆に女×女の関係の部分が、男×女のヘテロな関係の変奏で、その場合、両性具有の女性の役割は女性の外見を持った男、という。
何だか自分でも舌足らずな事を書いている自覚があってアレなのですが、この作品の描くところは「男の子の百合」という大変に倒錯したものであり、その中で果たす「女装美少年」のキャラの役割というのを考えたらこんな感じかな、と。
いや、2巻が出たら全く上の話は成り立たなくなっているかもしれないんですが。原作はその辺どういう扱いになっているかちと興味があります。
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