小箱とたん『スコアブック 小箱とたん作品集』
2人しかいない野球部にマネージャーとしてやってきた女の子・本間九州子(くすこ)。
私を雇えば5人の部員を集めてきてやる! と宣言した彼女が連れているのはウシ・ニワトリ・ネコ・ウサギ・カメの動物たち。
そんな頓狂なマネージャーと野球部員と動物たちが甲子園を目指して迷走するコメディ漫画。
甲子園を目指す! と言っておりますが、部員の過半数が動物である時点でまっとうに野球をするワケもなく。野球漫画の皮をかぶった――いや、かぶることすら放棄して明後日の方向へ駆けていくのでありました。
目指せ「仔牛園」。
頓狂な持論とテンションで暴走していく九州子さん。
動物好きの九州子さん。
ウシのためなら何でもやっちゃう九州子さん。
そんな九州子さんに引っ張られて甲子園の道を逆送していく部員達。そして野球漫画であることを放棄して珍妙な動物と変人が跋扈し始める作品。
ああ、小さい頃はあんなに可愛かったのに変人になってしまった九州子さん。でも動物好きであるのはかわいいなあ。
『スケッチブック』ではトーンを抑えめで、いわば「静」のギャグを描いているのに対し、この作品では徹底的にテンション上がりっぱなしの「動」のギャグを描いております。
全体的にむちゃくちゃなことをやっておりますが、そのむちゃくちゃさ加減を九州子さんのキャラが全て受け止めている感じ。なかなかよそには無いテンションのキャラクターであります。
しかし、「小箱とたん作品集」とあるからてっきり短編集とか、2つ3つの短編が収められているのかと思いましたが、ほぼ全部「スコアブック」で、1編の「スケッチブック」おまけ漫画が収めてある、という体裁なのでした。
スケッチブックがリアルっぽいの中にある「変」を描く作品としたら、こちらは徹頭徹尾「変」なモノを描く作品といった印象であります。
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