「コミックビーム」2007年10月号
森薫「エマ 番外編」
今月はなんと4コマ。ターシャ、ハンス、グレイス、スティーブンスの4人を主役にそれぞれの日常生活のひとコマを描いております。
間の取り方とか、オトし方とか、本当に森薫は何をやっても達者ですなあ。スティーブンスの最後の話の余韻とかすごくいいなあ。
タイム涼介「アベックパンチ」
以前にイサキに声をかけていたヒイラギさんが再接近。それに対して不器用にも程がある気の遣い方をするヒラマサ。互いに鈍感な男女が微妙にすれ違っている様が面白くもあり、ちょっと苦くもあり。
そしていよいよジムではヒラマサのパートナーとなりそうな女性が登場。なんとヒラマサよりもデカい外人女性。またしてもデリカシーのなさ過ぎる言葉を飛ばしたヒラマサを殴り飛ばした彼女と、喜んで受け入れるヒラマサ。
いよいよ「女性」の話が物語の中にも本格的に入ってきて、物語はますます面白くなってきました。
入江亜季「群青学舎」
山賊にさらわれた異国の姫・待宵姫と、その山賊のボスの話の第2回。
牢から出されてやっと外を出歩けるようになった姫。収穫期の中慌ただしく働く人々を見たり、その人達から声をかけられたりで、今までの生活とは全く異なる世界があることを知ることに。
ただ他国に嫁ぐために従順に王宮の奥で従順に生きることのみを教えられて生きてきた姫が、これから先どうなるのか。
姫が初めて触れる世界の瑞々しさを描く筆致が素晴らしいなあ。
未来に対する不安と、過去を顧みての虚無感から姫の焦りみたいなものも伝わってきて、ああ、やっぱりこの人はとんでもなく巧いなぁ、と再確認。
カイトモアキ「脅迫姫」
銀行の金を横領した支店長と、彼を脅迫しながらも彼に想いを寄せている女。
金を餌に自分を見ることを促す女と、社会的身分と金にばかり目がいく男。
そんな彼の姿を見て彼女が取った行動は――
カイトモアキの描く愛の形はいつもひん曲がっていながらとても純粋でいいなあ、と思うのです。濃い絵柄もまたインパクトがあって実に良い。
単行本、出ないかなあ。
宮田紘次「うたたね姫」
おお、第二回目が掲載されるとは!
お風呂で眠ってしまった女の子。現実と溶け合いながら次々と切り替わっていく夢が不思議な感覚で読ませます。
準備中の「音」に関する新作というのも楽しみ。
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