高崎ゆうき『桃色シンドローム』1巻
- 作者: 高崎ゆうき
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2007/11/27
- メディア: コミック
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ゲームショップの地下に眠っていた少女「モモ」。彼女は第二次大戦中に日本軍によって作られた人形兵器。破壊兵器として造られた彼女だが、目覚めた現代に戦うべき敵は既におらず、自らの存在価値を見失う。
そんな平和な時代に甦った、戦争にしか生きられない「兵器」である彼女の哀しみを描く作品――
――ではなく。
おたく青年が、眠りから覚めた兵器少女を騙して賺して宥めて乗せて、「魔法少女」として調教するお話。ハイテンション且つおバカで大変に愉快であります。あ、でも、最初に書いたことも要素ゼロ、ではないのですが。
「自分は兵器だ!」というモモと、変身した彼女を見て「俺のドキドキ魔法少女ライフが始まる!」と魔法少女に仕立て上げようとする主人公 スミヤ。噛み合わない会話をものともせず己の理想のために暴走するスミヤのエロゲ脳がステキ。
「魔法少女ってのは――飛んでる姿を下から仰ぎ見るもんなんだよ!」
「スカートはギリギリにまくられなければならない!! なぜなら中身が見えては全て終わりだからだ!!」
というセリフや、モモのエネルギーが人間の血液(体液)と聞いて
「やれやれどうやら少女向けじゃなくて…エロゲーの方みたいだなあ…っ!!?」
うーむ、非常に漢らしい。他にも心に残る名台詞をいくつも吐いております。
一方、モモは魔法少女なんかじゃない! と言いつつも、スミヤの口車に乗せられてうっかり「遊んでないで魔法少女やるぞ!」と言ってしまって愕然としたり、いつの間にかCMを見て魔法少女のステッキが欲しい! と言うようになってしまったり。簡単にケーキで餌付けされてしまったり。
イヤだイヤだといいながら、いつの間にか気分は魔法少女。
そんな彼女が、スミヤのセクハラ発言に対してきょとんとなってみたり、顔を真っ赤にして涙目になりながら
「スミヤのバカ! えっち! へんたい!」
と詰る姿は実に可愛らしく、読んでいてニヤニヤしてしまいます。
この子犬っぽさというか、アホの子っぷりは中々大きな破壊力を持っております。
普段は裸+マント+スカートのみという大変な格好をしているモモですが、話はほぼ室内のみで終始するインドア系なので問題なし。希に出かける街も秋葉原だから大丈夫(?)。紛らわしくエロっちい描写と台詞が盛り込まれいるのもサービス感があって、それもまたステキ。
そんなわけで、暴走するスミヤの妄想と、嫌がりながらもいつの間にかそれにノせられてしまうモモの掛け合いが大変に楽しいのです。
そんな二人に加えて、1巻ラストエピソードでは新キャラのロリお姉さんも登場。物語に一層の花と、テンションの高さと、カオス度を加えております。
華やかで可愛らしい絵柄に似ないテンションの高い、カオスでおバカで変態な作風。
賑やかで楽しくて、とてもいいなあ。