作:武論尊 画:池上遼一『覇 −LORD−』10巻
- 作者: 武論尊,池上遼一
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2007/11/30
- メディア: コミック
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今最も狂っている、いや、今までで最も狂っている三国志漫画。(褒め言葉)
この10巻では董卓が洛陽を捨て、長安遷都を強行する辺りを描いているはずなのですが……うーーむ、相変わらず色々と凄まじい。インパクトに充ち満ちております。
衝撃その1。
孫堅との合流を急ぐ孫策。その行く手を遮る不気味な仮面の騎馬軍団。
やおら仮面とマントを脱ぎ捨てた頭領、その正体はなんと80年代アイドルみたいな衣装に身を包んだ周瑜! しかも部下の騎兵達は全員女だった!
うーむ、このセンスは凄すぎる。
衝撃その2。
董卓がなかなか長安にやってこないなあ、と思っていたら誰にも気づかれないうちに別の場所に城を造っていたのだった!
そして衝撃その3。
道中拾った子供を連れて曹操の許に現れた荀恕u。その子について放った一言。
「左様……この子父は関羽、母は趙雲と……」
「……関羽と趙雲……!?」
驚愕と共にヒゲと美男子を脳裏に浮かべる曹操その他。
既刊を読んでいればあっさり受け入れられるセリフですが、ここに至るストーリーを知らない人にとっては衝撃的過ぎるセリフでしょう。一体何を言っているのか、と。
作中の登場人物も当然そんな今までの経緯を知らないので、衝撃と共にこの言葉を受け止めます。池上遼一描くところの驚愕フェイスで。男と男の子供だ! と言われた人たちの混乱や如何に。
他にも阿部寛フェイスの華佗とか、ジャイアント馬場似の典韋とか、見所は沢山ありますが、全体的にインパクトが強いのでその程度は些細な事。
「三国志」物語の基本ストーリーは押さえながら、「男達の物語」として再構築している点では既存の三国志漫画から外れることは無い本作。しかし細部に大胆なアレンジ――というか狂気じみた変更を加えているため、その無茶っぷりが読者の三国志観を激しく揺さぶることは間違いありません。