結城心一『ちろちゃん』1巻

ちろちゃん (1) (IDコミックス 4コマKINGSぱれっとコミックス)

　『まとちゃん』の続編に当たる作品。
　転入生のちろちゃんは前の学校では一目置かれる存在だったけれど虫が苦手な女の子。
　そして転入先のちろちゃんのクラスには虫好きの女の子まとちゃんが居て……合掌。
　虫もちこみ禁止係長、略してむちきん係長になったちろちゃんの受難の日々が始まるのでありました。

　みんなからの敬意を得ようと頑張っているちろちゃんですが、淡々と虫を愛でるまとちゃんに振り回されまくってどんどんヨゴレになっていくのが哀れでもあり、でもそれ以上に滑稽で笑いを誘います。
　むしろ頑張れば頑張るほど空回って、まとちゃんの虫地獄に引きずり込まれて行く感が。ああ、かわいそうなちろちゃん。

　深い虫愛を湛えるまとちゃんの視点から描いた『まとちゃん』に対して、虫嫌いのちろちゃんの視点から描いた本作は、「虫度」はちょっと減って女の子達の掛け合いが増えた印象。
　しかし、女の子度が上がっても決して所謂「萌え」にならないで、寧ろどんどん変なキャラ、変な生物への傾倒が高まっていってしまうのはいかにも結城心一作品であるなあ、という感じで心安らぐ奇妙な味わいでステキです。