カトウハルアキ作品に於けるキャラの名前

 とらのあな発行の無料情報誌「とらだよ。」83号にカトウハルアキ先生インタビューが載っております。
 話の作り方から、キャラクターについて、ペンネームの由来、夕日ロマンス制作話、などなど興味深い話満載なので、ファンの人はとらのあなに行ってもらってくると良いのではないでしょうか。『ヒャッコ』のキャラ達は元々西洋ファンタジーのお話で使うつもりで考えていたキャラだった、とか大変興味深い。そして「月刊少年ブラッド」6月号に掲載された「ヒャッコ」のプロトタイプと言える「ホワイトタイガー」は代原だった、とかいうお話も。そうだったのかー。


 で、本日はそのインタビューで触れられていたキャラクターの名前のお話を。
 『ヒャッコ』のキャラクターはメインキャラクターは虎子=白虎、歩巳(歩=亀の歩み?+「ブ」の音、巳=蛇)=玄武(蛇+亀)、龍姫=青龍、雀=朱雀と四神がモチーフであり、その他サブキャラ達は十二支が名前に入っている、というのは読んだ人なら気づいているかと思うのですが、メインの4人の名字までが四神に関連あったとは。

上下山虎子:上=「うえ」すと(West):西
能乃村歩巳:「の」のむら=「の」ーす(North):北
伊井塚龍姫:「い」いづか=「い」ーすと(East):東
早乙女雀:「さ」おとめ=「さ」うす(South):南

 と、北方玄武、東方青龍、西方白虎、南方朱雀と四神相応の姓名になっているそうで。これはさすがに気がつきませんでした。

 ちなみにサブキャラクターは

子=杏藤子々
丑=幕之内潮(「うし」お)
寅=上下山虎子(虎)
卯=大場湊兎(兎)
辰=伊井塚龍姫(龍)
巳=能乃村歩巳
午=風茉莉冬馬(馬)
未=?
申=涼ヶ崎知恵(知恵→猿知恵→猿)
酉=早乙女雀(鶏→鳥→雀)
戌=古囃独楽(こま→狛犬→犬)
亥=蕾家祈(「いの」り→猪)

 以上のように十二支が。
他には獅子丸はそのまま「獅子」だし、先生は傘叶一「狼」だし、「フォトショップ柳」が柳→ネコヤナギ→猫だしでやっぱりこちらも動物繋がり。男性陣は肉食獣ですか。

 そして狐は「虎の威を借る狐」で、鬼百合は英語で「タイガーリリー」ということで、名前でも虎子との関連付けされております。

 それから、コレは2chカトウハルアキスレッドで見て感心したのですが、10コメで登場した龍姫のところの家政婦「小野トシ子」さん。
 「龍」の「小野トシ子」さん
 「タツ」の「オノトシコ」
 「タツ」「ノオトシコ」
 →タツノオトシゴ

 おお!!

 いやあ、本当に名前に大いに寓意と遊びを入れ込んでおりますね。

 ちなみに先生のペンネームについてもキャラの命名に関係が。
 元々のPNである「珈琲」から変えたのは「単にネット上の検索にかからないから」で、現在の「カトウハルアキ」も元々はキャラ名として漢字で考えていたもので「勘のいい人なら分かるアナグラムみたいなもの」とインタビューで回答されています。
 
 コレ、サイン会の際に直接ご本人に伺ったんですが「夏冬春秋」でカトウハルアキ、なんだそうです。ネット上でそういう説を見かけておりましたが、なるほど。

 『夕日ロマンス』も、タイトルが「ユウ」「ヒロ」の名前に掛かっていたり、「ジョー」と「ベニー」が本名だったというサプライズがあったり、そもそもキャラの名前が特殊だったりと、やはり名前で色々と工夫が見られていたわけで、やはりカトウハルアキ作品のキャラ名の付け方は特徴的であることだなあ、と。
 というわけで、先生の「キャラ作り」の作法が伺えるお話でありました。