宇河弘樹『朝霧の巫女』5巻

朝霧の巫女 5 (ヤングキングコミックス)

朝霧の巫女 5 (ヤングキングコミックス)

 実に4年ぶりとなる新刊が出た『朝霧の巫女』。しかし、すっかりその5巻に至るまでのお話を忘れてしまっていたので1巻から読み返していたのですが、これはまたもの凄い勢いで物語が展開しておりますな。多少なりともあったコメディ要素が吹っ飛んで、種々の民俗学的モチーフが交錯しながら、因縁と執念と現在と過去が混じり合う、どシリアスな物語が展開しております。
 四つ辻、箕・籠、履き物などといった「境界」に関係するモチーフの連続から始まる5巻は、まさにいままでの日常から異界に足を踏み入れた、と言うべきなのでしょう。
 そして物語はもはや執念とも言うべきこまさんの「母の愛情」を描きながら、妣が國へ・常世へ。

 急展開する物語、炸裂するケレン味のある演出と、4年の空白を押し流す様に高濃度に詰め込まれ、一気に読ませる第5巻。物語はいよいよ核心に近づいております。

 しかし、カバー裏は今までのノリなのでありました。いやあ、これはヒドい(褒め言葉)。