「コミックビーム」08年2月号

コミックビーム 2008年 02月号 [雑誌]

コミックビーム 2008年 02月号 [雑誌]

三宅乱丈イムリ」第19話:孤軍

 クーデター失敗後、脱出して再起を図ろうとするババドと、それを追いつめる呪師達。
 僅かの手勢と辛くも脱出に成功し、復讐に燃えるババドの切り札は捕らえてあるラルド。
 イムリの統治を巡っての争いはまだ一波乱ありそう。そこにデュルクがどう絡んで来るか、ラルドはどうなってしまうか、イムリの情勢は、と先の展開に興味が尽きません。

タイム涼介アベックパンチ」第13話:ヒラマサノーベル賞

 初めて知った恋という感情に気持ち悪いくらい浮かれているヒラマサ。「俺ぁな 戦争が無くならない理由が解っちまったぜ! そりゃ皆がこの気持ちを知らねえからだっ」と言うヒラマサのこの純粋さと単純さがいいですね。そしてイサキにもヒイラギさんとの繋がりは切れていなかったようで。はぐれ者達に吹き始めた恋の春風ですが、果たしてこのまま上手く行く―――のでしょうか。

森薫「エマ 番外編」第18話:新しい時代 中編

 エマとウィリアムの結婚式に集まる様々な人達。今まで登場した人々が登場し、そこであちこち新たな出会いがあったり。それぞれがそれぞれ二人の新しい門出を祝いながら賑やかに、ちょっぴりセンチメンタルに、物語はいよいよ大団円に向けて。次回、いよいよ最終回!

入江亜紀「群青学舎」第二十八話:橋の向こう側(前編)

 宿泊代がわりに宿屋で働く少女マージと、その姿を見て彼女に淡い恋心を抱く宿屋の息子ルカ。愛想も良くてきぱきと働くマージが溌剌としていて、ルカならずともとても魅力的に見えます。そんな彼女の連れである男 ライダーが橋向こうのスラムに仕事と称して消え、彼女もそれを追う宣言をした時、ルカは―――なかなか複雑な心境でありますな。橋向こうで待っているのは一体どんなお話でありましょう。

鈴木健也「淑女はドレスに着替えない」

 いやあ、久々に読み切りで登場。待っておりました。
 そばかすで眼鏡なウェイトレス・フォリーと、その店で爺さん連中と飯を食っていた少年アンリ。さんざんブスだなんだ美人はこういうのだ、と強がっていたのに、ドレスアップして現れたフォリーに戦意喪失一発KO。爺さん達の煽り方、アンリの見え透いた強がりや、フォリーの余裕っぷりが活き活きとして面白い。そしてフォリーの仕草の描写や、勃っちゃったアンリの股間など微妙にエロティックなのもいい。
 うーん、毎回載るたびに思いますが早く連載が見たいなあ、と思う作家さんの一人であります。

ヤマザキマリ「THERMAE ROMAE(テルマエ・ロマエ)」

 ハドリアヌス帝時代のローマで公衆浴場の設計案に没を喰らった建築家。怒りと失意の中、既存の浴場で考え事をしていると―――
 時代設定や、ローマの町並みや人々の生活を描いているので「歴史物かな?」と思いながら読み始めましたが、見事に裏切られました。こういう予想の裏切られ方はとてもうれしいなあ!! ローマ公衆浴場秘話でありますが、いや、こんなバカバカしい展開になるとは!
 「風呂」にいるオヤジ達と主人公の建築家の落差も非常に楽しかったです。是非違う作品も読みたいです。


 今月号は読み切り2作品が非常に面白かったですわ!