八神健『どきどき魔女神判！』1巻

どきどき魔女神判!(1) (チャンピオンREDコミックス)

　DSゲームソフト「どきどき魔女神判！」を八神健によるコミカライズ。なのですが――

　「八神先生が壊れた！」

　と思わず言ってしまいたくなる破天荒さ。
　街に潜む魔女を見つけ出すために、おさわりを駆使した魔女神判を行う、というちょっとエッチでだいぶおバカな原作ゲームの設定を活かしつつ、より過激に、よりおバカに、そして大量のパロディを詰め込んだ怪作且つ快作に仕上がっております。

　「初音ミク」のような旬のネタから、「もえたん」「エヴァ」「シグルイ」などの比較的新しいネタ、「キン肉マン」や「Bugってハニー」「コンバトラーV」にSNKの今は滅んだハードなどの思わずニヤリとしてしまうような懐かしの漫画・アニメ・ゲームネタ、「こんなかわいい子が女の子のわけない」などのネットの辺境で語られるニッチなネタ、そして黒木香のホラ貝のような一定の世代には伝わりにくいネタまで洪水のように次々と襲いかかるパロディ。
　ここまで迷い無くやってくれると、いっそ清々しく、ただただ笑ってしまいます。いやあ、このブレーキを踏む気配すら感じさせない突っ走り方は素晴らしい。
　時代もネタ元も選ばないパロディの大攻勢は、どこまで元ネタが分かるか、という読む者のオタク度を計るリトマス試験紙。実は本作は魔女神判を描きつつも、読者のオタク度・濃さを神判する作品でもあるのかもしれません。

　とにかく、今までの作風から大きく異なる八神先生の暴走ぶり・狂いっぷりとおバカなネタの数々を「本当にバカだな！（褒め言葉）」と言いながら楽しみましょう。正気にては大業ならず！