きづきあきら+サトウナンキ『まんまんちゃん、あん。』1巻
- 作者: サトウナンキ,きづきあきら
- 出版社/メーカー: 幻冬舎コミックス
- 発売日: 2008/01/24
- メディア: コミック
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きづきあきら+サトウナンキ先生の新連載は「お寺」を舞台にした物語。
本来は世俗と切り離された場所であるはずのお寺で、一人の少女を中心に多くの人間達の思惑が絡み合う、一筋縄ではいかない話が編み上げられております。
お寺に嫁いだ女の子・めぐりは貧乏子沢山の家庭で育ち、そこで身に付いた生活力と、持ち前の明るさと愛想の良さで檀家の受けも非常に良く、お寺の皆に愛されておりました。運命的な出会いを果たした夫・信玄との仲も良好、幸せな日々を送っていたのですが―――
とあるきっかけで、お寺の相続問題の中心に据えられることになってしまっためぐり。住職の座について鍵となる存在としてのめぐり、一人の女性としてのめぐりを巡って、嫁いだ寺の一族の思惑、檀家の意志、彼女に関わる僧侶達の想いなどが交差します。
本来ならば「嫁」という家の外から来た存在であるはずのめぐりが、寺という特殊な環境の中で、いつの間にか相続問題の中心に据えられてしまい、彼女に迎えられる事こそが寺を相続する、という話になっているのがまず面白い。
本来は俗世と切り離されているべき寺という場所で、彼女に向けられる人々の俗な思惑・複雑に絡み合った感情・煩悩はなかなかに生臭くはありますが、明るくて芯の強いしっかり者、そして信玄への純な愛情を抱き続けるめぐりのキャラクターによってかなり救われていて、その対比もまた面白い。
ただ、めぐり自身、家事も完璧、誰にでも好かれる明るくて本当に良い娘なのですが、寺に残るためなら別に誰とでも、というドライさというか割り切りというか、妙な欠落を抱えているのが興味深いです。
お寺と一人の女性を巡って、多くの人々の煩悩が絡み合う本作。誰がどのような行動を採るのか、めぐりはどう応えるのか、今後の展開が楽しみです。
ちなみに、「まんまんちゃん、あん」とは関西圏で仏様にお祈りをするときの言葉であるとのこと。それを知らなかった私は第一話冒頭のめぐりのような想像をしてしまいました。
でも、あとがきをみるに、やっぱりそこら辺は意図してやっているようですね。