鹿島麻耶『学園夢探偵 獏』
- 作者: 鹿島麻耶
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2008/02/22
- メディア: コミック
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毎夜午前3時という決まった時間に義理の母親を殺す夢を見る主人公・浅野修二郎。
「夢探偵」と呼ばれている陸前獏は、その修二郎の夢の分析に当たる。その夢が意味する真実とは――。
見るのが決まった時間だったり、夢分析の定石からは外れる部分が多いなど、通常の夢とは異なる不可解な要素を持った修二郎の悪夢。その悪夢に隠された真実に探偵役の陸前さんと、助手兼当事者の修二郎が挑むミステリ的要素を中心に物語が展開。不定形なイメージが連鎖する一見つかみどころの無い夢を論理的に整理して解答に近づいて行く様は、実に興味深くエキサイティングであります。
誰もが普段自分では意識していない深層心理にしまいこんだ心の声を暴き出していく際に、嫌な部分なども晒してしまうのがまた痛々しくもカタルシスがあります。
筋としてはシリアスなお話で、結構重い要素も含んでいるのですが、キャラクターのお陰で全体としての雰囲気はかなり賑やかで明るいな感じに。
淫靡な雰囲気を漂わせる美人でありながら、修二郎を殴り倒してでも夢を見させようとしたり、治療のためではなく夢に潜む無意識の悲鳴を聞いたときだけ「感じる」というエキセントリックなキャラクターの陸前さん。彼女のキャラクターが、画的にも華を添えて、思い切り物語をかき回してくれております。変態で変人で、でも美人。このお姉さんは変過ぎてステキです。
時に淫靡だったり、時にグロテスクだったりと、夢の描写もまた魅力的。
いやー、シリアスでエロティックで愉快で、実に楽しい作品。オススメです。