カラスヤサトシ『萌道』

萌道 (バンブー・コミックス)

萌道 (バンブー・コミックス)

カラスヤサトシ』で些細な物事に対するごくごく個人的且つ独特な意識のあり方を開陳して微妙な共感を呼ぶ作者が、メイド喫茶執事喫茶、コスプレ居酒屋にメイド占いなど所謂「萌えスポット」を巡り、その体験を綴るエッセイ漫画であります。

 サービスを受ける側にもある程度の約束事の事前了解が求められるオタク系サービス業に、比較的門外漢の著者が生のまま入ってのレポ。
 なかなか余所には無いサービスと独特の世界にツッコミを入れたり感心してみたり。トホホな結果になってもその状況自体を面白がるなど楽しみ方はポジティブ。

 レポート漫画ではありますが、お店のサービス云々よりも、独特の空間の中で著者自身がその状況をどう楽しんだかという部分こそが面白い。些細な出来事を受け止めて自分の中であっちこっちに転がす「面白がりの精神」とでも言ったらいいのでしょうか、『カラスヤサトシ』でも遺憾なく発揮された感覚がここでも活かされていて微妙な共感と、一線を引いた感覚が愉快です。

 多分すごく微妙なラインで好き嫌いが分かれそうな作風ですけれども、私はとても好きです、この感覚。