支倉凍砂/小梅けいと『狼と香辛料』1巻

狼と香辛料 I (1) (電撃コミックス)

狼と香辛料 I (1) (電撃コミックス)

 電撃文庫の同名作品のコミカライズ作品。商人ロレンスと、彼と共に旅を続ける少女の姿をした狼神ホロの物語。この漫画版は原作を丹念に追った作りとなっております。大きなアレンジが施されているわけではないので、原作読者には物語的な新味はあまりありませんが、小梅けいと画で描かれるホロにドキドキさせられること必至。

 ライアーソフトのPCゲーム『キャノンボール』で、すでに小梅けいと先生の獣耳少女の可愛らしさは証明済みなわけですが、そこに原作の魅力がプラス。
 老練な手管を見せるかと思えば、少女のようにあどけなかったり、悪戯っぽい仕草・視線をロレンスに向けて翻弄するホロの可愛らしさをいちいち画にして見せられると、その破壊力は大変なものがあり、文章で読むのとはまたちょっと違った趣があります。

 ストーリーは本当に丹念に原作を追っているので、原作に忠実という意味では作家の人選も含めてこれ以上ないくらいに成功しているコミカライズだと思います。これを原作読者とって安心というべきか、コミカライズによる新味が無いというべきかは読者個人の好みによる、と言ったところでしょうか。