著:白鳥士郎/画:カトウハルアキ『らじかるエレメンツ』
- 作者: 白鳥士郎,カトウハルアキ
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2008/04/15
- メディア: 文庫
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化学実験部とは、その名前とは裏腹に実験や研究をせず、頓狂な行動で学校を騒がせてばかりいる問題児達が集う部活。
その行動が生徒会部室に目を付けられ、部室の明け渡しを言い渡された化学実験部は存続の危機に瀕することに。部活動で何か優秀な実績を残せば明け渡しが回避されるということで、何の実績も蓄積も無い化学実験部は「マイナーだから何とかなりそう」という理由でスポーツチャンバラに挑むのでありました……!
凶暴な美少女 笠松羽卵(うらん)、やたら日本に馴染んでいるドイツ人のオットー・カリウム、ピンク妄想でパンパンの腐女子 丹波凜、薬物依存症の虚弱少年 薬師陽祖(ようそ)といった化学実験部部員と、その前に立ちふさがる生徒会長 簗瀬アルミ。そんな一癖も二癖もあるメンバーらを相手に苦闘する部長の鉄太郎の青春。
化学実験部がスポーツチャンバラ、しかも異端の流派の大会にチャレンジといういい加減さと無茶さ加減、物語を彩る個性的なキャラ達が非常に賑やかで楽しく描かれております。
物語をかき回しまくる破天荒なキャラ達ではありますが、自分たちの大切な場所を守るために奮闘したり、あこがれの先輩に淡い恋心を抱いていたり、羽卵とアルミが鉄太郎を巡って繰り広げる恋愛以前の鞘当てが可愛らしかったり、でも鉄太郎はニブチンだったりと、奇抜な設定とおバカな展開の中でも青春してい、芯の部分は結構ストロングスタイルな青春ラブコメ。
オタク的な小ネタをちょこちょこと差し挟む文章は個人的にはニヤリとすることが多かったです。
後書きを読むに、3作目まで出そうですので、羽卵とアルミというタイプの異なるアクの強いツンデレ二人に挟まれた鉄太郎がどうなるかちょっと気になります。
パワフルで時々しおらしいところを見せることもある羽卵もいいですが、個人的には幼なじみで堅物で融通が利かなくてテンパり気味で愛情が裏返って徹底的に敵対路線を歩んでしまう不器用なアルミが可愛らしいと思うのです。