黄島点心『くままごと』1巻

くままごと (1) (リュウコミックススペシャル)

くままごと (1) (リュウコミックススペシャル)

 やんちゃ盛りの子グマたちに手を焼くクマの母さん。
 冬眠を促したり、朝寝坊を何とか起こそうとしてみたりと、色々頑張っておりますが、あんまりにも奔放すぎる子グマ達の言動に対して、母さんはツッコミを入れたり翻弄されたりと大変なのでありました。

 ――などと書くと可愛らしい動物ほのぼの系作品に取られかねませんが、中身は結構カオスなことになっております。
 ぬいぐるみのような可愛らしい姿で描かれる子グマたちに対して、母さんグマはリアルタッチ。その違いは一体何なんだ、という疑問を挟む余地もなくやんちゃというにはちょっとハードな、おバカでフリーダムな子グマたちと母さんグマの攻防に勢いでどんどん押されていきます。可愛い顔してすれっからしの子グマたちがけっこう容赦ないのがまた。
 母さんグマがメイクを変えたり、子供達が家を出て帰ってきただけで、「母さん」から「先生」などの別の役柄に変わっていても気づかないアホな子供達と、それをそのまま進めてしまう母さんグマの力技に笑ってしまいますし、時々出てくるアウトローなパンダのおっさんのキャラもいい具合に可愛らしさを破壊しております。
 そして突然訪れるまたオチがヒドい(褒め言葉)。ヒドいなあ、とニヤニヤしながら読んでしまいます。「でも凍死した」って。「以上、衝撃の事故現場でした」って。

 見た目は可愛らしくても、中身はなかなか危険なネタが詰まったギャップが愉快な作品。色々苦労していているリアルたっちの母さんグマが一番キュートです。