FLIPFLOPs『猫神やおよろず』1巻

猫神やおよろず 1 (チャンピオンREDコミックス)

　古美術店の八百万堂に居候し、ビミョーにレトロなゲームをやりながら一日中ごろごろして怠惰極まりない生活を送る猫神の繭さま。その繭さまの世話を焼く八百万堂主人の柚子はおっとりしているけれども怒ると笑顔のままで怖いひと。
　そんな二人と彼女たちの許を訪ねてくる数々の神様達が繰り広げる緩やかで賑やかなトラブルの数々をご近所スケールで描いたコメディ。

　「チャンピオンREDいちご」連載中、「東方」シリーズの同人誌等で有名な作者ユニットの初単行本であります。特徴的なデフォルメが効いたキャラ達がとにかく可愛らしく楽しげに動いていて、明るく愉快にお話を展開させております。

　神様といっても日の本は八百万の神、何らかの力を持っていても万能ではないし喜怒哀楽も人間なみ、それぞれに好き嫌いもあれば間抜けな失敗もする、という風に非常に人間くさい身近な存在。そんな個性的な神様たちが次々と引き起こすこれまた人間くさいドタバタはおかしくもあり、かわいらしくもあり。
　時にはちょっとしんみりさせるようなエピソードを挟みつつ、神様たちの日常は楽しげに過ぎていくのでありました。

　かわいらしい画とキャラクターが魅力的な本作。特に繭さまの自堕落っぷりと、その手綱を取る柚子のびみょーなバランスが取れた関係が可愛らしくて。
　全くニートのような生活を送っていながら妙に愛嬌があったり、締めるところはきちんと締める繭さまは実に良いキャラでありますなあ。