清水沢まこと『学校菜園おけらば』1巻

学校菜園おけらば(1) (KCデラックス)

学校菜園おけらば(1) (KCデラックス)

 東京から田舎町の高校に転入してきた少女・森永日和。入る部活をさがして運動部を転々としているうち、ちょっと手伝った土いじりに楽しさを感じて園芸部・通称おけら部に入部することに。しかし、おけら部の活動は予想していた田舎での農業とはちょっと違って――

 都会からやってきた少女が農作業を通じて田舎の良さと触れあうお話、とか、農業って実は大変なんだよ! というお話でもなくて。
 初めてやった農作業の楽しさ、自分で採った野菜の美味しさに感動しておけら部に入部を決めてしまった日和に対して
「案外簡単でしたね」
「都会のヒトはこういうことに良い幻想をお持ちですから……」
「良い労働力になりそうです……」
 と裏で言っている部員達。そんな感じです。
 一生懸命作った野菜はみんな売ってお金に! そんなある意味正しい高校生達の農作業であります。おけら部とは土いじりをする+部費が少ない=オケラという意味がかかっているそうで。

 でも何だかんだで土いじりの楽しさに目覚めて、そんなおけら部の活動を精力的にやっている日和。雨が降らないといっては雨乞いをしてみたり、テニス部と土地を争ってみたり。
 おけら部は美少女部員の写真をネタにブログをでっち上げて「美少女が作った野菜」として売り出していたりとしたたかで愉快なことをやっていて、それに馴染んで楽しくやっているちょっとおバカな日和が何だか可愛らしい。ひとクセある部員達もそれぞれキャラが立っております。

 園芸部というちょっと珍しい題材で、おバカでユルめな高校生活を描くコメディ。うーん、ユニークで愉快でお勧めであります。