青山広美/山根和俊『GAMBLE FISH』6巻

GAMBLE FISH 6 (少年チャンピオン・コミックス)

GAMBLE FISH 6 (少年チャンピオン・コミックス)

 単行本も巻数を重ねてくると中だるみをしてくる作品というのも多いですけれども。
『GAMBLE FISH』はそういうのとは一切無縁、この6巻も話を引っ張りまくる力に溢れております。6巻を数えてなお上り調子の面白さ。

 灼熱のコークスを頭上に頂いてのダイス勝負、杜夢VS真世。派手な舞台装置に無闇に体を張った展開、丁々発止のやりとり・ギリギリの心理戦と文句なく面白いのですが、その面白さに更に華と笑いを与えるアクの強い男性キャラたち。特に阿鼻谷と杜夢の息がぴったりあった掛け合いは、まるでお互い素直になれず意地を張り合っている恋人同士のような円熟した趣さえあります。台詞・表情の一つ一つがいちいち素晴らしいったらありゃしない。
 ギャンブルバトルの駆け引きの鋭さと「そりゃあ無茶だろう!」という大仰なバカバカしさが奇跡の融合を果たし、次の話が気になって気になって仕方がありません。キャラの濃さがまたそれを癖になる味に仕立て上げていてもう最高。
 この理屈抜きで先の展開を追っかけたい、という無茶な力強さこそが雑誌販売不振が囁かれ続ける中で少年週刊誌に求められていると思うのですが如何でしょう。いやー、最高であります。キャラもギャグも本当にノリノリでいい仕事しております。49話の最終回(!)のあとにコラムを挟むという小ネタもまたステキ。いや話は続いておりますけれども。