松本ミトヒ。『メガミのカゴ』1巻

メガミのカゴ (1) (まんがタイムKRコミックス)

メガミのカゴ (1) (まんがタイムKRコミックス)

 学業優秀運動神経良好、容姿端麗、黒髪ストレートにメガネ装備、と委員長属性を完璧に具えているけれども委員長ではない女の子・宮本明美
 「なら委員長にしてしまえ」と行動する友人の麻倉南によって立ち上げられた新設の「乙女の鏡委員会」略してメガミ委員会。仕方なくも委員長になった明美が女子校でのトラブル解決に当たる様子を描いたコメディ。

 本質や立場から属性を見出すのではなく、属性に立場や本質を当てはめてしまおう! というひっくり返った設定が先ずユニークであります。
 委員長的属性を具えつつもソノ気が無い明美を乗せて賺していつの間にやら委員長に祭り上げる南の無駄な行動力と情熱も愉快でありますし、なんだかんだ言いつつもやはり適正があってしっかり「委員長」してしまっている明美も可愛らしい。
 舞台が女子校ということもあり、各エピソードで登場するゲストキャラ(準レギュラーになったりしますが)もそれぞれ個性的な女生徒達が出てきて華やかであります。
 その女生徒達のお悩み解決の過程も、各人のしっかりしたキャラ立てと、南が囃して明美がきれいにまとめるという息のあったやりとりのお陰で、短い尺でもメリハリ効いたエピソードに仕上げられており、隙のない話作りであることだなあ、と。

 しかしまあ「乙女の鏡委員会」を略しても普通はメガミ委員会にはならないであろうとは思ったり、籠に悩みを入れるという設定なども、先ずタイトルありきといった強引さがありますが、その辺も属性と本質ひっくり返しているこの作品らしい味でありましょう。
 あと、露骨な描写は無いのに所々で妙に艶めかしく感じてしまうのは私が委員長属性に極端に弱いからでしょうか。


 以下、本作と関係ない無用のことながら。
 極々個人的には委員長は万能の人当たりの良いタイプよりも、弱い心を鎧って融通の利かない教条主義者のようになってしまっているアンバランスな存在である方が好きなのですが如何でしょうか。あと運動は出来ない方がより素敵だと思うのですが如何でしょうか。世の委員長好きの諸兄。